近年、株式投資において「タイミングを狙う」手法も注目される一方で、長期にわたる定額投資(ドルコスト平均法)の有効性が再評価されています。今回、三菱重工のデータをもとに、毎月20,000円を月初の1営業日に終値で購入する投資戦略について、1年、5年、10年、20年の各投資期間における実績を分析し、さらに2005年4月から2025年3月までの期間における最高値・最安値(およびその日付)にも触れながら、その魅力と注意点を探ります。
※今回の記事は投資を推奨するものではありません。
定額投資戦略の概要
本戦略では、投資家が毎月決まった金額(20,000円)を用いて、月初の1営業日にその月の終値で株式を購入します。このルールは、株価の変動リスクを分散し、平均購入単価を低減させる効果が期待されます。また、購入タイミングを月初に固定することで、予算管理と投資計画のシンプルさも実現しています。
各投資期間の実績比較
添付のデータおよび弊社独自の集計によれば、以下のような結果が得られています。
1年間の実績
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購入株数:124.57株
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購入総額:240,000円
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現在の時価:329,000円
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含み益:89,000円
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資産倍率:1.37倍
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年間単利:37%
短期間ながらも、37%という高い年間単利は、景気変動や業績の好転を反映している可能性があります。短期投資であっても、適切な銘柄選定と市場環境が重なれば、大きなリターンを得ることができる点が注目されます。
5年間の実績
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購入株数:1,689.07株
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購入総額:960,000円
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現在の時価:4,460,838円
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含み益:3,500,838円
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資産倍率:4.65倍
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年間単利:73%
5年間と中期の運用期間では、投資元本に対して約4.65倍の資産形成がなされ、年間単利も非常に高い73%を記録。この結果は、長期にわたる市場の上昇トレンドや三菱重工の業績改善、または国際情勢による防衛・インフラ需要の拡大などが影響していると考えられます。
10年間の実績
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購入株数:5,258.41株
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購入総額:2,400,000円
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現在の時価:13,887,463円
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含み益:11,487,463円
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資産倍率:5.79倍
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年間単利:48%
10年という長期運用になると、相場の波は大きくなるものの、資産は約5.79倍に拡大。年間単利48%と、堅実ながらも力強い成長が確認され、積み立て投資の「時間分散」の効果が顕著に現れているといえるでしょう。
20年間の実績
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購入株数:10,872.21株
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購入総額:4,800,000円
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現在の時価:28,713,511円
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含み益:23,913,511円
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資産倍率:5.98倍
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年間単利:25%
最も長い20年の運用期間では、資産倍率は約6倍に達していますが、年間単利は25%となり、期間が延びるにつれて年率での伸びはやや緩やかになる傾向が見られます。これは、成熟した市場における価格変動の収束や、リスク調整後のリターンの特性を反映している可能性があります。
各期間のまとめ
傾向を一覧にまとめると、以下の通りとなります。
投資期間 | 購入株数 | 購入総額 | 時価 | 含み益 | 資産何倍? | 年間単利 |
1年 | 124.57 | 240,000 | 329,000 | 89,000 | 1.37 | 37% |
5年 | 1,689.07 | 960,000 | 4,460,838 | 3,500,838 | 4.65 | 73% |
10年 | 5,258.41 | 2,400,000 | 13,887,463 | 11,487,463 | 5.79 | 48% |
20年 | 10,872.21 | 4,800,000 | 28,713,511 | 23,913,511 | 5.98 | 25% |
最高値と最安値の分析
2005年4月から2025年3月までの期間内で、三菱重工の株価は大きく変動しました。
✅最高値は2,641円(2025年3月3日)
✅最安値は223.4円(2020年10月1日)
となっています。
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最高値の背景:
最高値に達した日は、記憶に新しいですが、地政学的なリスクの高まりを背景に、日本や米欧各国が防衛費への支出を増やすとの期待感が高まるとのことで、防衛関連事業への注目が集まったと考えられます。 -
最安値の背景:
一方、最安値を記録した時期には、コロナ禍によって、三菱重工業の主要事業である航空機関連事業やエネルギー関連事業も大きな影響を受け、業績悪化への懸念が高まった可能性があります。
このような極端な価格変動は、短期的にはリスクとなり得る一方で、長期の定額投資戦略においては「買いのチャンス」として作用する場合も多く、投資家にとってはむしろ分散効果が働く要因となります。
チャートの紹介
チャートは次のようになっていました。
一旦はやや押されてからの、2022年からの上昇は凄まじいものがあります。
10~20年前の安い段階で買い進めていた場合は、ここ最近の急激な伸びによって、資産額が大きく伸びることとなります。
戦略としての定額投資の意義
毎月一定額を投資することにより、株価が低い時には多くの株を、株価が高い時には少ない株を購入する「ドルコスト平均法」の効果が期待できます。
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心理的負担の軽減: 定期的な投資により、投資タイミングを過度に考える必要がなくなるため、精神的なストレスが軽減されます。
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長期的な資産形成: 1年、5年、10年、20年と期間を分けて見ると、各期間での実績はそれぞれ異なる特徴を示しており、投資家は自身のライフプランやリスク許容度に合わせた戦略を検討できます。
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市場の波動に対する耐性: 特に短期的な高騰や急落のリスクは、長期投資により平均化されるため、過度な売買判断による失敗を防ぐ効果があります。
リスクと今後の展望
もちろん、どの銘柄にもリスクは付きものです。三菱重工の場合、国内外の経済環境、為替変動、さらには防衛関連の政策変更や技術革新といった要因が影響を及ぼす可能性があります。しかし、今回の定額投資戦略は、過去20年にわたる株価の変動を鑑みると、長期的に見ると安定した資産形成が可能であることを示唆しています。
また、最高値と最安値という極端な局面を経験していることから、今後も市場は一定のボラティリティを維持すると予想されますが、その中でも積極的な情報収集と柔軟な投資戦略の見直しが鍵となるでしょう。
結論
三菱重工の過去20年にわたるパフォーマンスを分析すると、月々20,000円の定額投資を継続する戦略は、短期的なリターンだけでなく、長期的な資産形成においても有効であることが確認されます。
✅1年で37%という短期の大幅リターン
✅5年で約4.65倍、10年で5.79倍、20年で6倍近い資産増加
と、各期間での成果は明らかです。さらに、2005年4月~2025年3月の期間における株価の最高値・最安値は、投資家に市場の変動性とチャンスの両面を認識させるものであり、リスク分散の観点からも定額投資戦略の強みを裏付けています。
このコラムは、個人投資家やファイナンシャルプランナーにとって、長期投資の実例として大変参考になる内容となるでしょう。今後も市場動向を注視しつつ、計画的かつ冷静な投資判断が求められます。
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