今年も、最後の日を迎えました。
世間は祝祭ムードや、あるいは慌ただしい帰省の空気の中にあります。しかし、仕事納めを終え、少しの静寂が戻ったこのタイミングで、ふと「ある種の重たさ」を感じている方がいるかもしれません。
特に、今年FP2級などの資格を取得し、「さあ、これからだ」と意気込んでいた方ほど、この年末の静けさに、言いようのない焦りを感じているのではないでしょうか。
勉強していた頃の充実感とは違う、何か足踏みをしているような感覚。
今日は、大晦日です。
無理に答えを出したり、来年の目標を書き殴ったりする必要はありません。ただ少し立ち止まって、その「違和感」の正体について、静かに考えてみませんか。
これは、FP資格という切符を手にしたあなたが、次のステージへ進むために必要な、少しばかり長い「深呼吸」の時間です。
資格を取った“その後”に感じる違和感
資格試験の勉強をしている期間は、ある意味でとても幸せな時間だったはずです。
「合格」という明確なゴールがありました。「試験日」という動かせない期限がありました。やるべきことはテキストの中に全て書かれていて、昨日の自分よりも知識が増えていることが、模擬試験の点数として可視化されていました。
迷う必要なんてなかった。ただ、前に進めばよかったのです。
しかし、合格証書が手元に届き、祝杯をあげ、数日が経った後、ふと気づくのです。
「次、何をすればいいんだっけ?」と。
レールの先が、急に見えなくなる感覚。
あれほど欲しかった資格を手に入れたのに、日常は驚くほど昨日と同じまま続いていく。
もし今、あなたが「せっかく取ったのに、何もできていない」と自分を責めているのなら、それは間違いです。それは停滞でも、失敗でもありません。
登山で言えば、ひたすら頂上を目指して登っていた状態から、ふと平らな場所に出て、360度の景色を見渡している状態になっただけです。
どこへでも行ける自由は、時として「どこへ行けばいいのか分からない」という不安とセットでやってきます。
今のその違和感は、あなたが真剣に資格と向き合ったからこそ訪れる、正常な通過儀礼なのです。
FP資格は人生を一気に変える魔法ではない
少し厳しい現実の確認になるかもしれませんが、整理しておきましょう。
FP2級に合格したからといって、翌月から給料が数万円上がるわけではありません。
名刺に資格名を入れたからといって、上司や同僚の評価が劇的に変わるわけでも、顧客が列をなして相談に来るわけでもありません。
12月28日や29日の記事でも触れてきましたが、資格そのものには、人生を一発逆転させるような魔法の力はないのです。
「なんだ、結局意味がなかったのか」
そう思うでしょうか? いいえ、そうではありません。
劇的な変化はありませんが、あなたの内側では、確実な変化が起きているはずです。
年末調整の書類を見たとき、以前よりも項目の意味が理解できたはずです。
ニュースで流れる「税制改正」や「社会保険の適用拡大」という言葉が、他人事ではなく、自分事として耳に入ってくるようになったはずです。
保険の更新ハガキを見て、その内容の良し悪しを判断する「モノサシ」が、自分の中に生まれていることに気づくはずです。
派手な魔法ではありません。しかし、世界を見る「解像度」は確実に上がっています。
今はまだ、その新しいレンズに慣れていないだけ。
外側の変化(収入や評価)ばかりを求めてしまうと、この内側の静かで重要な変化を見落としてしまいます。
「活かせていない」のではなく「使い始めていない」だけ
多くの人が陥る罠があります。それは、「FP資格を活かす」=「副業で稼ぐ・誰かの相談に乗る」と定義してしまうことです。
昨日(12/30)の記事でお伝えした「前提のズレ」がここにもあります。
副業で1円も稼げていないからといって、「資格を活かせていない」ことにはなりません。
まだ誰の相談にも乗っていないからといって、「無駄だった」ことにはなりません。
FP資格の本質は、まず「自分自身の生活と人生を守る」ことにあります。
自分の家計を見直すこと。
将来のキャッシュフロー表を、自分のために作ってみること。
リスクとリターンのバランスを考えて、資産運用の一歩を踏み出すこと。
これらはすべて、立派な「活用」です。
あなたは「活かせていない」のではありません。外に向けた派手な活用を焦るあまり、足元にある自分自身への活用を「使い始めていない」だけなのかもしれません。
収益化だけがゴールではありません。
まずは、あなた自身がその知識の最初の受益者であってください。
自分を豊かにできない知識で、他人を豊かにすることはできないのですから。
年明けに考えるべきは「やり方」ではない
年が明けると、世の中は一気に「新しいこと」を推奨する空気に包まれます。
「今年こそ副業で月5万!」「スタートダッシュを切ろう!」といった威勢のいい言葉がSNSに溢れるでしょう。
ですが、焦ってその波に乗らないでください。
「どうやって稼ぐか」「どのプラットフォームを使うか」「どんな発信をするか」。
そういった「やり方(How)」を探し始めると、また同じ迷路に迷い込みます。
この年末年始、もし考える時間があるのなら、考えるべき問いは一つだけです。
「私は、このFP資格を、人生のどこに置きたいのか?」
会社員としてのキャリアの補助線にしたいのか。
いつか独立するための武器として磨きたいのか。
あくまで、自分と家族の生活を守るための盾として持っておきたいのか。
あるいは、地域や知人の役に立つ「頼れる隣人」でありたいのか。
正解はありません。
稼ぐことが正義でもなければ、教養として留めることが逃げでもありません。
大切なのは、世間の「FPならこうすべき」という声ではなく、あなた自身が「何者として」この資格と付き合っていきたいかを決めることです。
まとめ
答えは、今すぐ出さなくて構いません。
むしろ、大晦日という特別な日に、無理に結論を出す必要はありません。
今日は、今年一年頑張って勉強し、合格を勝ち取った自分自身を、ただ労ってあげてください。
「焦らなくていい」「今の違和感は間違っていない」と、自分で自分に許可を出してあげてください。
立ち止まって考えることができた。
それだけで、あなたの年末には十分な意味があります。
静かな気持ちで新年を迎え、世の中の喧騒が少し落ち着いた頃に、またここでお会いしましょう。
年明け最初の記事では、皆さんが自分のペースでFP資格と向き合うための「FP資格の再定義」について、少し深い話をしたいと思います。
それでは、よいお年をお迎えください。

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