初値付かずも市場の関心を集める新興企業:ミライロの事業分析と今後の展望

企業分析
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2025年3月24日、株式会社ミライロは東京証券取引所グロース市場に上場を果たしましたが、その初値は付かず、市場から大きな注目を集めました。初値が付かないという異例の事態は、同社に対する投資家の強い買い意欲を示すものであり、その将来性への期待の高さが窺えます。本稿では、この話題の新興企業ミライロについて、その事業概要から最近の業績、今後の成長性、強みなどを多角的に分析し、その魅力に迫ります。

ただし、本稿はあくまで企業分析を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。

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ミライロ:バリアフリー社会の実現を目指すパイオニア

ミライロは、「障害」を社会における単なる障壁として捉えるのではなく、新たな価値を生み出す源泉「バリアバリュー」へと転換させることを理念に掲げ、誰もが快適に暮らせる社会の実現を目指している企業です 。同社は2010年6月2日に設立されましたが、その起源は2009年5月28日に創業された前身の「Value Added Network」に遡ります。

この企業を設立し、代表取締役社長を務めるのは垣内俊哉氏です。垣内氏は、生まれつき骨が弱いという骨形成不全症を患い、幼少期から車いすでの生活を送ってきました。自身の経験を通して、障害を持つ人々が日常生活で直面する様々なバリアを痛感したことが、ミライロ設立の大きな動機となりました。取締役副社長には民野剛郎氏が名を連ね、垣内氏と共に創業期から経営を支えています。

ミライロという社名は、「未来の色」と「未来の路」を掛け合わせたものであり、自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をデザインするという強い意志が込められています 。同社は、社会に存在する「環境」「意識」「情報」という3つのバリアに着目し、それぞれのバリアを解消するための革新的なソリューションを提供しています。環境のバリアに対しては、誰もが快適に利用できる施設や製品の設計・監修を行い、意識のバリアに対しては、ユニバーサルマナー検定を通じて障害者や高齢者との適切なコミュニケーション方法を啓発・教育しています。そして、情報のバリアに対しては、聴覚・言語障害者向けのコミュニケーション支援や、デジタル障害者手帳「ミライロID」の開発・運営を行っています。

垣内氏自身の障害者としての経験は、単なる創業のきっかけに留まりません。それは、同社の事業展開における深い洞察力と、利用者目線でのサービス開発に不可欠な要素となっています。この当事者としての視点こそが、ミライロの提供するサービスやコンサルティングの信頼性を高め、クライアントとの強固な関係構築に繋がっていると考えられます。また、同社が環境、意識、情報という多角的な視点からバリアフリーに取り組んでいる点は、表面的なバリアフリー化に留まらない、より本質的な課題解決を目指していることの表れと言えるでしょう。

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近年の業績と今後の成長を見据えた事業展開

ミライロの業績は、近年着実に成長を続けています。直近のデータを見ると、2024年9月期の売上高は7億1000万円に達しており 、過去5年間で順調な増加傾向を示しています 。また、2023年9月期には黒字化を達成し、2024年9月期には大幅な増益を記録するなど、収益性も向上しています 。2025年9月期の第1四半期時点においても、売上高1億8300万円、経常利益2600万円を達成しており、その成長の勢いは衰えていません。

今回の上場で得た資金は、主にソフトウェア開発・改修費用、「ミライロID」の利用者登録作業費、人材採用および人件費、長期借入金の返済、広告宣伝費、事務所設備などに充当される予定です 。これらの投資計画からも、同社が主力事業であるITソリューション部門、特に「ミライロID」の更なる成長に注力していく姿勢が明確に示されています。

IPOに際しての想定価格は255円、仮条件は255円から270円に設定され、最終的な公募価格は270円となりました 。一部の IPO 情報サイトでは、初値予想として320円から450円という価格帯が示されていましたが 、実際には初値が付かず、初日の取引を終えています 。これは、市場の期待値が当初の想定価格を大きく上回っていたことを示唆しており、今後の株価動向が注目されます。

ミライロは、売上の約50%をユニバーサルマナー部門、約40%をビジネスソリューション部門、そして約10%をITソリューション部門が占めています 。今後は、特にITソリューション部門の事業規模拡大に注力し、数年後には同社の主要な収益の柱にまで成長させることを目指しています。具体的には、現在約700万人いるとされる国内の障害者手帳ユーザーのうち、数年でその3分の1近くのユーザー数を獲得し、収益基盤の拡大を図りたいとしています。そのために、収益源であるBtoB事業を拡大するとともに、鉄道事業者をはじめとする様々な企業との連携を強化していく方針です。

近年、ミライロが収益性と成長性を高めている背景には、ユニバーサルデザインやバリアフリーに対する社会的な関心の高まりに加え、同社の提供する独自のソリューションが市場に受け入れられていることが挙げられます。特に、デジタル障害者手帳「ミライロID」は、その利便性の高さから利用者を着実に増やしており、今後の更なる普及が期待されます。IPOで調達した資金を積極的に投資することで、これらの事業をさらに加速させ、持続的な成長を実現していくことが期待されます。

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成長が期待される市場環境とミライロの将来性

ミライロが事業を展開するユニバーサルデザインおよびバリアフリー市場は、日本国内において今後更なる成長が期待される分野です。2020年時点でのユニバーサルデザインの市場規模は40兆円を超えているという推計もあり 、経済産業省の予測では、ユニバーサルデザイン製品の市場は2025年度には少なくとも16兆円規模に達するとされています。また、高齢化が進む日本においては、「アクティブシニア」向けのバリアフリーリフォーム市場も2025年までに100兆円を超える規模に成長すると予測されています 。さらに、障害者雇用支援サービスの市場も拡大基調にあり、2021年度には6931億円の市場規模となっています。

このような市場成長の背景には、日本の高齢化の進展、インクルーシブな社会を目指す意識の高まり、そして政府によるバリアフリー化や障害者雇用促進策の推進などが挙げられます 。これらの要因は、企業や自治体におけるユニバーサルデザインの導入や、障害者や高齢者への配慮をより一層促進する方向に働くと考えられます。

ミライロは、このような市場環境の中で、独自の強みを活かして更なる成長を目指しています。同社は、ユニバーサルデザイン分野において、環境・意識・情報の3つのバリアを解消できる総合的なソリューションを提供する国内で唯一の企業であると自負しており 、長年にわたり多数の実績を積み重ねてきました 。特に、オンライン上で障害者を認証できる唯一のサービスである「ミライロID」は、2020年にマイナンバーカードとの連携が決定するなど、国からもその重要性が認められています 。今後は、この「ミライロID」とチケットサービス各社との連携を普及させることで、手数料やシステム利用料といった新たな収益モデルの確立も期待されています。

ミライロは、国内だけでなく、世界規模(約10億人)の経済圏を見据えた事業展開も視野に入れています 。今後、日本国内で培ってきたユニバーサルデザインに関するノウハウや、「ミライロID」のプラットフォームを基盤として、グローバル市場への展開も視野に入れることで、更なる成長の可能性を秘めていると言えるでしょう。   

ミライロの強み:当事者視点と独自のソリューション

ミライロの最大の強みの一つは、創業者の垣内俊哉氏自身が障害者であるという点です 。この当事者としての視点があるからこそ、机上の空論ではない、実際に利用する人々のニーズに合致した、きめ細やかなユニバーサルデザインの提案やサービス提供が可能となっています。クライアントからの信頼も厚く、それが多くの実績に繋がっています。

また、同社はユニバーサルデザイン分野において、「環境」「意識」「情報」という3つのバリア全てに対応できる、国内で唯一の総合的なソリューションプロバイダーであるという点も大きな強みです 。建築物のバリアフリー設計・監修、従業員向けのユニバーサルマナー研修、そしてデジタル障害者手帳「ミライロID」の開発・運営といった多岐にわたるサービスを提供することで、クライアントの様々なニーズにワンストップで応えることができます。

特に、「ミライロID」は、障害者手帳をスマートフォンで提示できるという利便性だけでなく、障害者割引の適用やお得なクーポンの利用、オンラインストアでの商品購入、必要なサポート情報の伝達など、多機能なプラットフォームとして成長しています。全国の鉄道会社やバス、タクシー、航空会社をはじめ、多くの公共施設やレジャー施設で利用可能となっており、その導入事業者は3000を超えています。この「ミライロID」の普及が進むことで、障害を持つ人々はよりスムーズに社会参加できるようになり、事業者側も効率的なサービス提供が可能になるという好循環が生まれています。

さらに、ミライロは「バリアバリュー」という独自の理念を掲げ、障害を単なるマイナスとして捉えるのではなく、社会に新たな価値を生み出す要素として捉えています。このポジティブな視点に基づいたコンサルティングや研修は、企業の意識改革を促し、よりインクルーシブな社会の実現に貢献しています。

これらの強みに加え、ミライロにはユニバーサルデザイン、プロジェクトマネジメント、コミュニケーション、社会学など、多様な専門性を持つ人材が集まっていることも、高品質なサービス提供を支える重要な要素となっています。また、5000人を超える「当事者モニター」の存在も、同社のリサーチやコンサルティングの質を高める上で大きな役割を果たしています。

初値が付かなかった背景:市場の熱狂と期待

2025年3月24日のミライロのIPOでは、初値が付かず、買い気配のまま取引を終えるという異例の展開となりました。これは、同社株に対する買い注文が売り注文を大幅に上回り、市場の需要が供給を大きく上回ったために起こる現象です。特に人気のあるIPO銘柄で見られる状況であり、ミライロへの投資家の期待の高さを示すものと言えるでしょう。

上場日の初値には上限価格が設定されており、買い注文がその上限価格を超えた場合、初値は翌営業日以降に持ち越されます。ミライロの場合、後場には買い気配がストップ高水準である621円にまで上昇しており 、多くの投資家がこの価格でも購入したいと考えていたことが窺えます。

このような強い買い需要の背景には、ミライロの事業内容の社会的な意義の高さや、今後の成長への期待感が挙げられます。ユニバーサルデザインとバリアフリーという成長市場において、独自の強みを持つミライロは、多くの投資家にとって魅力的な投資対象と映ったと考えられます。特に、デジタル障害者手帳「ミライロID」の今後の普及による収益拡大への期待は大きいでしょう。また、IPO時の想定時価総額が比較的低かったことや、公開株数がそれほど多くなかったことも、需給のバランスが買いに偏る要因になった可能性があります。

グロース市場は、高い成長可能性を有する企業向けの市場であり 、まだ実績が十分でない新興企業でも上場しやすいという特徴があります。しかし、その分リスクも高いとされています。そのような市場において、初値が付かないほどの強い買いが集まったことは、ミライロが市場から高い評価と期待を受けていることの証左と言えるでしょう。   

結論:成長市場で独自の価値を提供するミライロの今後に注目

株式会社ミライロは、障害を持つ創業者自身の経験を原動力に、ユニバーサルデザインとバリアフリーという重要な分野で独自のソリューションを提供し、社会に貢献している企業です。環境、意識、情報という多角的な視点からバリアフリーに取り組む姿勢や、デジタル障害者手帳「ミライロID」をはじめとする革新的なサービスは、高齢化が進む日本社会においてますますその重要性を増していくと考えられます。

初値が付かなかったという異例のIPOは、市場の同社に対する強い期待感を示すものであり、今後の株価動向や事業展開から目が離せません。ユニバーサルデザインとバリアフリー市場の成長という追い風を受け、ミライロがどのようにその独自の価値を社会に提供し、成長していくのか、その動向に注目していきたいと思います。

表:ミライロの過去の業績(百万円)

会計期間終了日 売上高 経常利益 当期純利益
2020年9月 363.4 △92.7 △91.7
2021年9月 388.8 △129.6 △134.4
2022年9月 615.8 △46.7 △59.6
2023年9月 583.0 11.0 9.6
2024年9月 709.6 121.3 178.9
2025年9月予想 880 163 104

新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせより筆者が独自集計

注記: 本稿は特定の株式の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行うようにしてください。

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