10月よりよりパワーアップする「産後パパ育休」
法改正によりFPの試験問題でも今後出てきそうですね。
働き方の観点から、今後益々注目が集まりそうなテーマです。
今回はその詳細を見ていきます。
「産後パパ育休」とは
「産後パパ育休」というキーワードが気になりますよね。
恐らく今後さらに出てきて、話題となりそうです。
新聞記事とともに、法改正についても確認してみます。
河北新報の記事より
昨日夜記事を色々と見ていたところ、河北新報の記事が気になりました。
「産後パパ育休」10月導入でさらに充実 世界トップクラスの男性育休制度を詳しく知ろう
ここで世界トップクラスと言っているのは…
「国連児童基金(ユニセフ)が昨年6月に公表した報告書によると、日本は育休の長さや給付水準から41カ国中トップ(子育て支援策全体ランキングは21位)の評価を受けている。」(同ホームページより)
とのことである。
41カ国の中では、
育休の長さや給付水準は高いけど、子育て支援策全体では中位ぐらいでさほど高くない状況
にはあるようです。
この差が解消できれば、さらに子育て支援の環境として整ってくるでしょう。
改正育児介護休業法
一方で、この記事のベースとなる改正育児・介護休業法について、FP試験学習ではおさらい的になりますが、改めて確認してみます。
厚生労働省の育児・介護休業法改正ポイントのご案内という資料から確認します。
2022年4月の改正
4月1日に第一段階で
「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」
として、企業への配慮を促す施策を実施してます。
さらに、
「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」
における、育児休業が取得できる条件として、雇用された期間が1年以上あることが必要でしたが、これが撤廃されています。
すなわち、雇用の長短に関わらず育児休業が取得できることとなりました。
2022年10月の改正
さらに、今回の10月からパワーアップして、
「産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」
と
「育児休業の分割取得」
が導入されることとなります。
厚生労働省としては、来月から「産後パパ育休」をテーマにかなりPRを強化するようです。
政府の資料でもあるので、画像をお借りします。
※厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内より
「産後パパ育休」として、通常の育休とは別に取得可能となり、さらに別建てとなります。
新たに追加された「産後パパ育休」は、
子どもが生まれた後、
8週間以内であれば最大4週間まで取得が可能
であることと、
分割して取得が可能
という点です。
さらに、10月~改正の通常の育休制度も、
分割取得が可能である点や育休開始日を柔軟に設定できる点
など、これまでの硬直的であった育休制度に比べて、取得しやすい内容に変更になります。
働き方・休み方のイメージ図
FP試験(CFP®等)でもこのような図がでてきますが、以下の通りです。
まず、これまでの産休、育休取得のイメージです。
※厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内より
父親が取得できるのは、出生後8週までを含めて、1歳までに育休2回までということでした。
仮に母親がなんらかの事情で休んで欲しいと急になった場合であっても、3回目以降は育休取得ができないということになっていました。
改正後のイメージ図は?
次に、改正後のイメージ図です。
※厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内より
ピンク色の矢印が今回の改正で可能になった箇所ですが、出生後8週までとそれ以降の育休が分けられました。
そのため、出生後8週までに、分割して2回まで取得が可能となっています。
母親の手がかからずに落ち着いた場合、父親も柔軟に職場復帰が出来ます。
そして産後8週以降、子が1歳になるまでの間、仮に業務上の都合などで母親が職場復帰が可能となった場合には、代わりに父親が育休を取得し、交互に取得することも可能となるわけです。
すなわち、
産後8週以降1歳になるまでの間の10か月間を、交互に各2回ずつ育休を取っていくという考え方
もできます。
さらに、1歳以降で、子がやむを得ず保育園に入園できない場合には、改めてお互いが忙しい時には交互に育休を取得できる等、1歳以降の延長の際の開始日も柔軟に設定できることとなります。
また、これまで通りですが、
・育児休業等を理由とする不利益取り扱いの禁止
・ハラスメント防止
も挙げられているので、企業においては遵守が求められます。
2023年4月の改正
さらに、2023年4月からは、
「育児休業取得状況の公表の義務化」
として、従業員数1,000人超の企業は、
育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられる
こととなります。
男性の暮らし方・意識が変われば日本も変わる
少々大げさな表題ですが、これは筆者が考えたものではなく、内閣府の男女共同参画局が出しているポスターの表題です。
日本人男性の育児・家事時間がかなり短い!
少し前のポスターなので、夫がこの時間の家事・育児を行っているかは分かりません。
しかし、世界各国に比べて育児・家事時間がかなり短いということです。
※内閣府 男女共同参画局 男性の家事・育児参画コンセプトポスターより抜粋
主要世界各国を見ても、日本の家事・育児時間は妻に偏っているうえ、他国に比べ1時間半から2時間程度妻が長くなっています。
そのため、夫のその時間が極端に少ないのも出ています。
男性の家事・育児により出生率が左右される!
さらにこのような出生率データもありました。
※内閣府 男女共同参画局 男性の家事・育児参画コンセプトポスターより抜粋
休日における男性の家事・育児参加度で第2子以降の出生率が大幅に増加する
というデータです。
「なし」というのは亭主関白な家庭なのかというのもあるのでしょうか。
2時間未満に比べて、6時間以上参加する場合には、約2.7倍の87.1%まで第2子以降の出生率が増加するとのことです。
都道府県別の日本人男性の家事・育児平均時間は?
そして、都道府県別日本人男性の家事・育児平均時間というデータもあります。
※内閣府 男女共同参画局 男性の家事・育児参画コンセプトポスターより抜粋
一番長いのは東京都の121分で、短いのは茨城県、和歌山県、岡山県の57分です。
東京は共働き環境が一般的でともに育児と家事をこなす環境か、または大手企業が多く男性の育児休業取得が進んでいるかなどが想定されそうです。
細かく書いてある注釈は内閣府のPDFデータからご参照ください。
経産省の山田課長補佐、育休取得とのことですが、国をあげての取り組みがますます必要ですね。
10年前の本でその当時から取り組んでいますが、まだ意識を変えるのに時間が掛かる、いや果たして変わるのかという所です。
育休とると給与が減って生活に支障をきたす、そんなイメージが先行しがちですが、育休を取得しても就業時の約9割程度の手取りは保障されるなど、育休は本人や企業にとってもメリットがあるとのことです。
またFP試験でお馴染み、育休中の給付金は会社も従業員も負担はなく、社保から出るというものです。
あと、企業としては育休取得者に対するハラスメントにならないよう意識も変えないと、何で休んでるの?こんなに忙しいのに、になるので、改めて考え方を変えていく必要がありそうです。
まとめ
河北新報の記事から派生して、厚生労働省と内閣府の男女共同参画局のデータにまで及びました。
男性がなんとか育児や家事に参加して欲しいという施策を国をあげてやっています。
しかしながら、まだ男性が育児や家事に積極的に参加するのも道半ばでしょうか。
国の施策としてのジェンダー関連は、今後ライフプランニングを中心としたFP試験でもさらに出てくるかもしれません。
筆者としても今後とも引き続き注目していきます。
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