FP2級攻略
FP2級(ファイナンシャル・プランニング技能士2級/ファイナンシャルプランナー2級)攻略ついて解説します。
FP3級に合格した場合、または既にFP業務に従事しており、FP3級に合格する程度の実務経験がある場合、FP2級試験からチャレンジすることも可能です。
このページをご覧になられる方はFP2級に興味がある方かと思いますので、全体が分かる形で記載していきます。
FP2級(ファイナンシャル・プランニング技能士2級)とは
FP協会やきんざいよると、FP2級(ファイナンシャル・プランニング技能士2級・ファイナンシャルプランナー2級)は以下の様な要件を満たしている者とされています。
・日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
・3級技能検定の合格者
・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
これらの要件を満たす場合に、FP2級に臨むことができます。
中でも「FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者」ですが、実務経験の判断は自己申告になり、ご自身で判断して頂くことになります。
さらに、虚偽・不正が発覚した場合、試験の中止、合格の取消しを行う場合がありますので注意が必要です。
詳しくは、FP協会やきんざいの「実務経験について」をご参照ください。
また、試験は午前はマークシートによる学科試験で試験時間は2時間、午後は択一式や穴埋めを含めた筆記試験で試験時間は1時間半と長丁場です。
学科、実技それぞれでの受験も可能ですが、再受験を除きまとめて受けることが望ましいと考えられます。
FP2級の試験科目
FP2級の試験は、比較的多岐に渡っていたFP3級に比べて更に幅広くなっています。
試験団体であるFP協会、きんざい各ページに試験範囲が紹介されています。
FP3級同様に別紙のPDFに非常に細かく試験科目が記載されています。
既にFP3級経由で臨む場合は、追加知識を入れていくことで試験対策として充実させることができますが、実務経験がありFP2級から試験に臨む場合は、いきなりの多さに驚いてしまうかもしれません。
その量に惑わされず進めていくことが大切です。
学科は4答択一式、実技は記述式となり、FP3級と比較してより国家資格らしくなっています。
学科試験
3級FPと同様の科目からの出題となりますが、3級に比べてより深くなる点や、3級が3択問題だったのに対して、2級は4択問題になる点が異なります。
A.ライフプランニングと資金計画
B.リスク管理
C.金融資産運用
D.タックスプランニング
E.不動産
F.相続・事業承継
※日本FP協会、きんざいともに共通
実技試験
FP協会は「資産設計提案業務」のみですが、きんざいは「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」4分野からの選択となります。
FP協会は幅広く、きんざいは専門的に奥深く、といった感じでしょうか。試験は択一問題が多くを占めますが、記述式も複合された出題となっています。
①FP協会
<資産設計提案業務>
1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2.ファイナンシャル・プランニングのプロセス
3.顧客のファイナンス状況の分析と評価
4.プランの検討・作成と提示
②きんざい
<個人資産相談業務>
1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2.個人顧客のニーズ及び問題点の把握
3.問題の解決策の検討・分析
4.顧客の立場に立った相談
<中小事業主資産相談業務>
1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2.中小事業主のニーズ及び問題点の把握
3.問題の解決策の検討・分析
4.顧客の立場に立った相談
<生保顧客資産相談業務>
1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2.生保顧客のニーズ及び問題点の把握
3.問題の解決策の検討・分析
4.顧客の立場に立った相談
<損保顧客資産相談業務>
1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
2.損保顧客のニーズ及び問題点の把握
3.問題解決策の検討・分析
4.顧客の立場に立った相談
FP2級の合格率
FP2級にも、FP3級同様に、学科、実技の双方の試験がありますが、6割取れれば合格の絶対評価試験です。
詳しくは、こちらに合格率詳細と合格対策
も詳しく記載していますので、是非参考にして向てください。
FP協会
FP協会の学科試験は40~56%で推移しています。
対して、実技試験は50~71%で推移しています。
FP2級合格率推移
試験年月 | 学科試験 | 実技試験 |
2024年5月 | 59.29 | 54.87 |
2024年1月 | 39.00 | 61.12 |
2023年9月 | 53.54 | 52.02 |
2023年5月 | 48.82 | 58.61 |
2023年1月 | 56.12 | 59.13 |
2022年9月 | 42.16 | 56.55 |
2022年5月 | 49.20 | 62.11 |
2022年1月 | 41.51 | 56.33 |
2021年9月 | 50.56 | 60.26 |
2021年5月 | 55.61 | 66.67 |
2021年1月 | 44.02 | 71.01 |
2020年9月 | 49.19 | 57.37 |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 41.86 | 62.61 |
2019年9月 | 43.42 | 62.63 |
2019年5月 | 40.17 | 62.65 |
2019年1月 | 48.26 | 50.31 |
2018年9月 | 39.47 | 50.52 |
平均 | 46.43 | 59.37 |
日本FP協会試験結果データより抜粋、筆者が独自集計
単位:%
きんざい
きんざいの学科試験は13~33%で推移し、FP協会よりもやや低くなっています。
対して実技試験は受験科目、試験年月によりばらつきがあります。
低い時で20%程度、高い時で72%程度です。
きんざい FP2級合格率推移
試験年月 | 学科試験 | 実技<個人> | 実技<中小> | 実技<生保> | 実技<損保> |
2024年5月 | 29.70 | 38.77 | ― | 53.18 | ― |
2024年1月 | 13.27 | 37.11 | 53.58 | 45.27 | ― |
2023年9月 | 22.75 | 41.36 | 35.92 | 40.17 | 60.07 |
2023年5月 | 17.51 | 39.76 | ― | 39.20 | ― |
2023年1月 | 29.07 | 34.09 | 62.98 | 31.90 | ― |
2022年9月 | 15.75 | 41.54 | 39.80 | 32.54 | 72.92 |
2022年5月 | 22.11 | 31.44 | ― | 34.32 | ― |
2022年1月 | 19.50 | 39.69 | 57.84 | 50.94 | ― |
2021年9月 | 25.46 | 42.48 | 59.75 | 33.92 | 68.49 |
2021年5月 | 33.82 | 42.81 | ― | 47.18 | ― |
2021年1月 | 23.42 | 36.00 | 64.12 | 54.96 | ― |
2020年9月 | 33.10 | 33.71 | 57.54 | 60.73 | 58.62 |
2020年5月 | 中止 | 中止 | ― | 中止 | ― |
2020年1月 | 28.81 | 33.13 | 55.81 | 45.88 | ― |
2019年9月 | 20.97 | 31.72 | 55.49 | 50.80 | 67.22 |
2019年5月 | 20.88 | 25.77 | ― | 54.73 | ― |
2019年1月 | 31.11 | 36.93 | 33.98 | 40.06 | 50.00 |
2018年9月 | 21.45 | 20.47 | 41.97 | 37.42 | 54.61 |
平均 | 23.69 | 35.50 | 51.57 | 43.75 | 61.70 |
実技全体平均 | 45.47 |
きんざい試験結果データより抜粋、筆者が独自集計
単位:%
きんざいの合格率についてはこちら
でも分析していますので、合わせてご参照ください。
FP2級の攻略方法
独学や通信、通学がありますが、筆者はコロナ禍の環境の中での取得となったため、FP3級→CFP®までほぼ独学でしたが、CFP®は1課目だけ通信講座に頼りました。従って記載は独学、通信が中心になります。
スマホやタブレット環境の充実により、各予備校やアガルートアカデミー(FP講座)などの通信講座もオンライン学習が充実してきているため、アフターコロナもこの手法がトレンドになると思われます。
独学や通信、通学のメリットやデメリットをまとめたこちら
も参考にしてみてください。
独学による方法
筆者はFP3級、2級とともに独学で学習しました。
FP3級でも触れましたが、過去問学習をベースにしていくことは変わりません。
①まずはテキストをざっと読む
↓
②テキストを完全に理解していなくても良いので、過去問に取り組む
↓
③過去問で解けなかった個所についてテキストで理解を深める
↓
④過去問を解く
↓
⑤③⇔④を繰り返す
ことが大切です。
ただ、①や③の時点で3級に比べて2級はテキストを読んでも分からない個所も多く出て来ることもあるでしょう。
その際には⑤を繰り返すことになりますが、FP3級で記載したのと同様、時間の割き方としては「テキスト3割、過去問7割」で学習を進めていくのが最適なバランスと考えられます。
比較的低コストであるメリットはあるものの、理解できる範囲に限界がある点が課題かと思います。
更に具体的な学習方法として、インプット学習とアウトプット学習については、こちら
また、過去問については、FPドットコムさんの過去問道場を活用した学習方法
や、過去問を更に深堀して、関連知識を広げていく学習方法
も非常に効果的なので、参考にしてみてください。
通信講座
FP2級は比較的通信講座が充実しており、先ほど少し触れたアガルートアカデミー(FP講座)など、各社充実しているため、カリキュラムに沿って学習することで最短合格も可能でしょう。
メリットとしては、カリキュラムが網羅されていて学習の抜け漏れがないことがありますが、コストが掛かることや、通学に比べて質問が簡単かつスピーディに出来ないことも考えられます。
通信講座を通じて学習した方の合格率や、実際に使用された方の評判等で検索して納得のいくものを選んでいくことが大切かと思います。
とりわけ、FP合格率において非常に高い合格率を誇るアガルートアカデミーには私もテキストでお世話になったおーちゃん先生の分かりやすい講義です。
語呂合わせもお世話になり、今でも覚えていて使っているぐらいなので、実務でも重宝するでしょう。
更なるステップアップに向けて
筆者としては、FP2級に到達すればまずは十分かと考えています。
FPを業務としていたり、金融機関に勤めているなどで会社で必要とされている場合は、スキルアップのための情報が充実しているAFPやCFP®、FP1級の取得もあり得ると思います。
FP3級からFP2級へのステップアップ編
も是非参考にしてみてください。
AFP
AFPは日本FP協会が認定する資格ですが、FP2級検定はAFP資格審査試験を兼ねているため、AFP認定の権利が得られたこととなります。
2021年7月現在、16万人強が認定されています。
詳しくは日本FP協会のAFP資格とは?をご参照ください。
CFP®
AFPをクリアしたら、CFP®にチャレンジする方もいらっしゃいます。
科目ごとのチャレンジが出来る反面、難易度も上がるため、相応の学習が必要となってきます。
2021年7月現在、2万人強が認定されています。
筆者はCFP®登録者ですが、プロフィールでご紹介しているマンション管理士をはじめとした各不動産資格取得における深みと、FP知識を取得することによる幅の広さを狙って、CFP®取得に至っています。
FP1級
そしてFP資格の最後はFP1級です。ここまでくるとFPのプロフェッショナルで誇れる資格でもあります。
FP協会は22年9月試験までで22,461名、2023年10月20日現在できんざいで30,254名の合わせて52,715人となっています。
FP3級が163万人(FP協会591,178人、きんざい:1,041,838人)、FP2級が111万人 (FP協会:542,135人、きんざい:575,818人) の累計合格者数を出しているのと比べて、FP1級はかなりの少数となっています。
参考:日本FP協会 FP技能士の取得者数
きんざい ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得状況
金融機関の方の名刺で見かけることもありますが、結構レベルが高い目立つ資格です。
CFP®経由だと実技試験合格で取得することができます。
FP上位資格の攻略については、こちらに3つの方法
としてもまとめていますので、合わせてご参照ください。