FP(ファイナンシャルプランナー)資格を持っている方の中には、業務上、キャリア上有利に働く宅建(宅地建物取引士)の資格を取得されている方も比較的いらっしゃいます。
もちろん、学習方法を確立し学習すれば、FPと宅建のダブルライセンスに手が届くでしょう。
FP2級とFP1級は年3回、CFP®は年2回チャンスがあります。
一方の宅建は毎年10月1回のみ受験可能で、難易度は高くなります。
人気が常に高く常に雑誌やWEB記事で取り上げられる位置づけの両資格です。
各資格の特徴や合格率、合格に必要な学習時間、難易度等関心がある方も多いでしょう。
合格に近づくコツとして、CFP®・FP1級とともに、不動産4大資格者(宅建、マン管、賃管、管業)でもある筆者が解説します。
FP(ファイナンシャルプランナー)と宅建(宅地建物取引士)、ダブルライセンスのすすめ
FP(ファイナンシャルプランナー)と宅建(宅地建物取引士)のダブルライセンスをおすすめする理由として、どういった点が挙げられるでしょうか。
筆者が保有していることもあり、メリットを感じていることもあります。
まずはFP2級やFP上位資格と宅建で共通する特徴を見てみましょう。
ライフプランニングと不動産をはじめとした課目や業務の親和性
まず、FPの課目にあるライフプランニングと不動産が宅建と非常に親和性が高い点です。
人生の中で一番支出が多いと言われるのはマイホームの購入でしょう。
これは人生のライフプランの中でも大きなイベントとなります。
マイホームを購入するためには購入前とのシミュレーションが必要です。
また購入後のローンの支払いや家族を取り巻くライフイベントも合わせて考える必要があります。
おもに不動産を売買する宅建や不動会社に所属する社内FPも比較的いらっしゃいます。
その場合、FPと宅建の知識を持ち合わせていることが前提となるでしょう。
顧客に対し家の購入するだけではなく、その後のライフイベントを具体的に提案していくためには、FPのライフプランニングや不動産だけではなく、税金や保険の知識も充実していることが望まれます。
またその方が顧客や社内での信頼を得やすいのは明確です。
CFP®と宅建のダブルライセンスは3分の1
日本FP協会では、相談できるファイナンシャル・プランナーを探すシステムがあります。
「CFP®認定者検索システム」を使って確認することができます。
例えば、都道府県で「東京都」を、さらに詳細な条件でCFP®認定者の保有資格として「宅地建物取引士」にチェックを入れて調べると、121名検索されます。
※2023年9月22日時点
「宅地建物取引士」にチェックを入れずに検索すると343名が該当します。
CFP®資格者の3分の1強がダブルライセンスとして「宅地建物取引士」を保有していることとなります。
2番目は「税理士」の32名、3番目は「社会保険労務士」の26名です。
FP上位資格のデータですが、スキルアップや独立志向の方にとって宅建をはじめとしたダブルライセンスが重要であることが、ここから読み取れます。
そして、FP資格は宅地建物取引士との親和性があるため積極的に取得している可能性があります。
逆に、宅建保有者がCFP®やFP1級の上位資格を持っているのかは分かりませんでした。
筆者の経験上の感覚ですが、上位資格は比較的少なく、次に記載するFP2級を持っている人は一定数存在するイメージです。
FP2級と宅建のダブルライセンスは比較的多い
宅建資格保有の方で、ダブルライセンスとしてもっているのはFP2級が比較的多いように思われます。
宅建資格保有者にとって、FP2級は比較的手の届きやすいところにあります。
また、有効活用できるダブルライセンスであることが考えられます。
ちなみに筆者の活動領域として比較的多いマンション管理士には、FP2級やFP上位資格を持っている方も比較的いらっしゃいますが、FPとの親和性は宅建に比べて低い印象をもっています。
管理組合として重要なマンションの長期修繕計画は、ライフプランニングやキャッシュフロー表と親和性があるため、マンション管理士もダブルライセンスとしてFP資格を持っていることで、数値に強くなる方がいいと感じています。
FP試験と宅建試験の傾向や合格に必要な学習時間は?
試験傾向として、FP試験と宅建試験の特徴を確認してみます。
そして、合格に必要な学習時間や合格率についてもみておきたいと思います。
FP試験と宅建試験の出題の特徴
FP試験と宅建試験には、それぞれの出題の特徴があります。
宅建は2時間ですが、FPの試験時間については、それぞれ以下の通りとなります。
FP2級 | FP1級 | CFP® | |
学科試験 | 120分 | 基礎編150分 応用編150分 |
全6課目各120分 |
実技試験 | 90分 | きんざい:面接12分×2回実施 FP協会:筆記120分 |
なし |
試験についてFP2級とFP上位資格では大きく異なりますが、共通点を挙げてみます。
FP試験は試験時間が長く課目も多い
FP2級試験の時間についてです。
午前の学科試験は4択問題を中心に120分となります。
また、午後の実技試験は4択問題や穴埋め問題を中心に90分あります。
FP1級の学科試験の場合は、きんざいのみで午前が基礎編で150分、午後は応用編で150分です。
そして、FP1級の学科試験に合格した方のみが、別途実技試験に進むことができます。
FP1級きんざいの実技試験が面接中心に約12分で2回あります。
FP1級FP協会の実技試験は筆記形式で120分となります。
さらに、CFP®の場合は1科目2時間の試験を6課目合計12時間あります。
これはかなりハードな試験となり、しかもその日だけで終わりません。
2週連続(3科目×2時間×2週)で受ける必要があります。
ただし、CFP®は全てを受ける必要はなく課目合格制度があります。
それを活用し最終的に6課目合格される方がほとんどです。
FP試験は不動産分野で計算問題も
FP試験は電卓持ち込み可であり、宅建では少ない計算問題が多く出題されます。
むしろ、ほとんどの問題で電卓を使用し、不動産課目でも計算問題がでてきます。
FP試験を受験する方にとっては、普段から電卓を操る計算が得意な方が比較的多いです。
そのため、ここで差が付かないように準備する必要があります。
宅建は50問4択を2時間で解く
宅建は全部で50問です。
考えさせられる4択問題と、ある程度過去問を攻略していると解答可能な4択問題があります。
民法や借地借家法の難問系はじっくり考えていると時間が無くなってしまうことになります。
そのため、後半の宅建業法から解く、捨てる問題を見極めるなど、解答戦略が必要です。
宅建は法律に特化
学習内容において宅建は、民法、借地借家法、都市計画法、建築基準法、宅地建物取引業法、農地法、土地区画整理法など、法律に特化しています。
土地建物の売買や賃貸は、上記の法規制が絡む中で行う宅建の独占業務でもあります。
法律問題はパターン化されているものも多いですが、民法はパターン化されていると言えども幅広い範囲からの出題に加え、難易度が高いのも出題されます。
法律の範囲が広すぎるので、絶対に落とさない基本的な箇所と、誰も解けないような難解な箇所に対して、学習する際には工夫することも必要になってきます。
合格率
FPの各試験と宅建の合格率についても見ておきましょう。
受験生には合格レベルに届かない、いわゆる記念受験層も毎年必ず一定数は見られます。
合格率はあくまでも目安として割り切ることが重要といえます。
各試験に対する取り組みをすれば、必ず合格という勝利を勝ち取ることは可能でしょう。
FP2級の傾向
FP2級の合格率の傾向は、次のようになっています。
FP協会の学科はおおむね50%前後で推移、実技は60%前後で推移しています。
一方で、きんざいの学科は30%前後で、実技は50%前後で推移しています。
若干FP協会の方が合格率は良いようです。
だからと言ってFP協会が簡単なのかというのも一概には言えない点はあります。
「きんざい(金財)のFP試験 合格率が低いのはなぜ?」にて少し詳細を記載しています。
FP1級やCFP®の傾向
CFP®の合格率
CFP®の各課目の合格率はおおむね30%台半ば~30%後半程で収束しています。
合格率を見ると1/3程度は合格する試験ではあります
ただ、出題範囲が広く120分では到底解ききれない分量の出題があります。
そのため、ある程度のテクニックも必要な試験です。
6課目全てにおいて合格しなければならないというタフさはあるでしょう。
FP1級の合格率
FP1級の学科はきんざいのみです。
年によってはばらつきが非常にありますが、おおむね10%前後で推移しています。
きんざいのホームページから試験結果を見てみましょう。
合格率を見ると、少々運の要素もこちらは有るかもしれません。
高い年に当たると合格率が跳ね上がり、20%近くまで到達することもあるようです。
60点取れば合格の絶対評価のため、その年に当たればラッキーでしょう。
仮に厳しい年に当たってしまったとしても年3回チャレンジできる試験でもあります。
しっかり学習すれば突破できる可能性はあると言えるでしょう。
宅建の傾向
宅建についても、以前FPとの比較を行った際に洗い出したデータがあります。
「宅地建物取引士(宅建)との比較」から改めて確認してみます。
宅建は毎年20万人以上が受験する超人気資格に位置づけられます。
これだけ合格者を輩出しても、なお必要になっている状況が確認できます。
令和4年度末における、宅地建物取引士の登録者数は115万人、宅地建物取引士証の交付者数は56万人程で推移しており、一貫して伸びている傾向が確認できます。
宅建試験を実施する団体である一般社団法人不動産適正取引推進機構(REITO)による宅建士のデータからの抜粋となります。(グラフ2-1 宅地建物取引士 年度別人数の推移より)
学習時間の目安
続いて、合格に要する学習時間の比較をしてみましょう。
こちらは知識の充実や経験により、ばらつきがあることも考えられます。
そのため、あくまでも参考値としてご参照頂ければと思います。
FP2級の傾向
FP2級の学習時間を紹介していますが、時間としては150時間~300時間と言われます。
FP3級から連続して学習する場合は、比較的短時間での合格も可能でしょう。
しかしながら、FP3級合格から暫く経っている場合や、実務経験があってFP2級からチャレンジする場合は、学習時間を確保する必要も出てくるかもしれないですね。
筆者の場合は、宅建やマンション管理士の試験合格後にFP2級を受験しました。
そのケースにおいて、300時間程度割いています。
FP3級経由でしたが必ず合格したいという強い気持ちもありました。
比較的漏れなくテキストと過去問道場で学習した結果、時間が掛かっています。
CFP®やFP1級の傾向
CFP®の全6課目取得には、相応の時間が掛かるうえ、得意不得意にもよりますが、80~150時間程度を各課目に割く必要があるでしょう。
そのため、×6課目とすると480~900時間と最大と最小で幅が出る形です。
学習時間として、この辺りにある程度は収まってくるのではないかと考えられます。
筆者はCFP®全課目合格に860時間を費やしているので、遠くない数字と考えられます。
FP1級はCFP®経由でFP1級の日本FP協会の実技試験を受験して取得しました。
実技のための学習時間は50時間程度、FP1級の合格までに合計910時間費やしました。
このように、CFP®経由でFP1級を取得する場合についてですが、上記のCFP®取得時間の480~900時間にFP1級実技対策に必要な時間としておおむね50~100時間であることを考えれば、530~1,000時間と算出できます。
一方で、FP1級学科経由でFP1級を取得する場合を考えます。
FP1級学科は確実に合格を手にするとなると500~700時間程は必要とされるようです。
同じくFP1級実技の50~100時間を足すと、550~800時間となり、ほぼCFP®に近い形です。
ちなみに、FP1級の取得方法は上記の様に複数ありますので、「FP3級2級を経てFP上位資格を攻略する3つの方法」における「FPステップアップの流れ」
にも具体的に記載しています。
宅建の傾向
宅建もまずは筆者の例からとなります。
筆者は1浪で、初年度独学で400時間、2年目も独学で100時間という学習時間です。
しかしながら、2年目の100時間は、同年にマンション管理士で約1,000時間、賃貸不動産経営管理士で約50時間割いているので、試験上被る所があっての100時間です。
また、宅建に特化していれば、変わっていたかもしれません。
当時絶対に不合格で2浪したくないという動機も働いていました。
その場合は、2年目の学習時間は最低でも2~300時間は割いたかもしれません。
さらに時間があれば4~500時間程度は割いていた可能性があります。
そして、一般的に言われる宅建合格までの学習時間は独学で5~600時間だそうです。
筆者の場合は500時間程度で合格しました。
マンション管理士等と並行ではなく宅建のみの学習だと最大700時間程度は割いていた可能性があるので、遠い数字ではなさそうです。
学習時間カウントにおける注意点
特に試験予備校や通信教育においては、合格者や優秀者、さらには受講を呼び込むための戦略として数字を記載する場合があるかもしれません。
難易度があまりにも高いと、学習を敬遠する傾向があるためです。
また、「平均的」として中央値を用いることも考えられます。
受験生の試験課目との相性や、課目の得意不得意で大きく変わることもあるでしょう。
そのため、特に合格者の経験談を見て学習時間をイメージすることが大切です。
そのため、筆者の時間も参考程度としてご参照ください。
FPと宅建の学習方法は通信講座がおすすめ
FPと宅建についての受験の傾向についてみてきました。
それぞれどのような学習方法が有効なのか考えてみます。
双方とも通信が早くて合格にも近づくイメージです。
一方で、独学に比べると一定の支出は伴うこととなります。
おすすめは双方とも通信講座
筆者はマンション管理士と1浪(厳密には半年浪人)したCFP®金融以外はどの資格も全て通信講座を用いずに学習した独学派です。
独学の中には無料のYouTubeや、各予備校などの無料講座も含みます。
受験に際してFP2級は独学でもいいと思います。
宅建とCFP®は確実に合格するなら、通信講座を使うのが効率よく学習ができそうです。
FP2級おすすめの通信講座
おすすめの通信はこちらでタブレット学習との親和性がある講座を中心に紹介しています。
FP3級からCFP®まで取得した筆者がおすすめのFP通信講座3選
に詳細を記載しています。
CFP®お勧めの通信講座
CFP®講座は実は比較的高いものが多いです。
そのため筆者は中々全課目受講という手段を取ることができませんでした。
そのため、不合格となった金融だけは通信教育で学習しました。
LECのCFP®講座 の金融のみを購入して使用しています。
現在LECでは直近のものまでしかないので、今後は新たに出て来るのを活用することになるでしょう。
その他、TACのCFP®講座も検討しましたが、やや高くて手が出なかったため、検討の末にLECに行った経緯があります。
仮に通信講座で学習する場合は、どちらがいいかは比較して決めることになります。
その他、山田コンサルティンググループのCFP®試験対策講座も通信であります。
この3つの中からCFP®講座を選ぶのがいいでしょう。
宅建のお勧めの通信講座
年間20万人以上受験する宅建は非常に講座が多く、予備校にも通信講座があります。
筆者の学習法と親和性があるものを中心に、コストパフォーマンスがいいものを挙げます。
宅建渋谷会
まず、予備校出身のイケメン有名講師・佐伯先生の宅建渋谷会です。
筆者が受験時に無料で参考にしていました。
筆者が推奨しているタブレット学習法と非常に親和性がある宅建の講座です。
無料講座のみだったので、ピックアップしてそこだけ繰り返し見ていました。
テキストはPDFで配布され、動画で配信されるので、タブレット学習法
でそのまま使えるのがポイントでした。
とにかく書きまくるのがテーマです。
さらに、40点以上のハイスコアで合格するという考え方がベースです。
この佐伯先生の考え方は筆者の受験スタイルと非常にマッチしていました。
残念ながら、有料会員にはなりませんでしたが、私の現役、1浪通じて一番親和性があった学習方法で、結果的に40点で合格できたのも佐伯先生が書きまくっていたのを頭に入れていたおかげというのもあります。
私個人的には、宅建では渋谷会、が向いていそうでした。
また、自ら受講して一発合格を果たしたマンション管理士の平柳塾のような、実直に取り組むタイプの講座と親和性があったように思います。
STUDYing
続いて紹介するのが、STUDYingの通信講座です。
STUDYingのプラットフォームが、筆者のタブレット学習法との親和性が非常にありました。
オリジナルのツールにノートとして書き込んだり、打ち込んだりすることが可能です。
クラウドシステムとして連携しており、スマホでも、タブレットでも、PCでもリアルタイムで確認できるのがいい点です。
紙版のテキストはオプションとなっており、基本PDF配布です。
宅建渋谷会同様、電子機器を中心に学習する特に若い層にはウケる手段です。
加えて、講師の竹原先生が、マンション管理士、管理業務主任者、行政書士という民法や不動産法令で親和性がある講座を一手に引き受けていることもあって、深く法律について学べる点は非常に大きいと思います。
アガルートアカデミー
アガルートアカデミーの宅建通信講座は、不動産系講座の名物美人講師でもある、工藤美香先生がおもに担当されています。
筆者よりも少し先にマンション管理士を取られていて講師されていました。
マンション管理士、宅建受験の時にはすでに存じ上げておりました。
STUDYingの竹原講師同様に、不動産の横展開が可能な先生かと思います。
筆者はマンション管理士は平柳塾で学習したため、アガルートアカデミーは間接的に講座を良く見ていましたが、シンプルにハキハキした分かりやすさが伝わる講義だったと思います。
また、以前はテキストは紙が中心で、データ版はオプションでした。
そして、ようやく2022年度からテキスト無しのデジタルブックに対応したようです。
この流れは各通信講座の流れとしては出て来るでしょう。
学習方法として隙間時間の活用や、検索機能などがあると効率化します。
紙中心のテキストで学習されている方と差が付くことは間違いないと思います。
独学を考える場合
筆者はFP、宅建をほぼ独学で受験して合格してきました。
そのため、独学という方法も可能性としてはあると思われます。
しかしながら、学習時間が示す通り、やや遠回りをした結果となりました。
仮に独学にこだわるとしたら、どのような手段になるのか考えてみます。
独学でFP2級受験を考える
独学で臨む際は、メリット、デメリットを充分に確認してから臨むことが大切です。
次の2つでも独学については記載していますので、参考までにどうぞ。
FP(ファイナンシャルプランナー)資格 独学で取得可能かを考えてみる
また、独学で乗り切ると決めた場合は、
問題演習(アウトプット学習)をどうするか
を自分自身で考えなければなりません。
テキストはこちらにFP2級のお勧めテキストを紹介しています。
どれかを選んで対応すれば十分かと思います。
問題演習はFPドットコムさんの過去問道場を中心に取り組むことがお勧めでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)過去問攻略法 FPドットコムの過去問道場をお勧めする5つの理由
にて、取り組み方や、攻略法など詳しく記載しています。
徹底的にやれば、テキストと、過去問道場で合格が見えてきます。
またハマれば先ほど紹介した300時間程はあっという間に経ってしまうでしょう。
独学でCFP®受験を考える
CFP®で独学となると、テキストや過去問題集になります。
筆者も探しましたが、中々CFP®専用のYouTube動画がありません。
FP2級や宅建に比べて、ニーズがそこまで多くないことがあるからでしょう。
そのため、テキストも問題集も次のようなラインナップのものに限定されます。
CFP®テキスト
CFP®のテキストは、FP1級とも兼用のものも可能です。
しかしながら、CFP®オリジナルになると、日本FP協会のもの1択になるでしょう。
試験主催者が自ら販売しているものとなるので、試験との親和性も極めて高いものと言えます。
から購入することになります。
実は筆者はこのテキストを買いませんでした。
FP2級時代に学習したテキストに、自己流テキストとして作り上げていました。
次に紹介する問題集の解説をピックアップして、追記していた形です。
本来ならば、このFP協会のテキストがあればそれで足りたのでしょう。
コスト削減とともに学習上工夫ができないかという観点で学習していました。
そのような方法でも金融以外は1回で合格しています。
結果的には学習方法において特に問題なかったと考えています。
CFP®問題集
CFP®対策の問題集は「CFP®受験対策精選過去問題集」と「CFP®資格審査試験問題集」に二分されます。
筆者はPDFデータに自炊して問題集丸ごとiPadの中に入っていました。
受験会場でもほとんどの方がどちらかを持ってきて臨んでいました。
CFP®受験対策精選過去問題集
FPK研修センターから出ているこちらの問題集です。
問題が300問近くあり、さらに解説も非常に充実した内容となっています。
過去問をしっかり学びたい場合は、こちらで十分でしょう。
ただし、値段的に少々張ることや、年度に合わせて購入する必要があります。
CFP®資格審査試験問題集
テキスト同様に、こちらも日本FP協会が独自で販売しているものです。
CFP®受験対策精選過去問題集を購入して、足らない場合の補足として活用できます。
筆者の様に浪人した場合は補足でその年分だけ買う形になります。
独学で宅建受験を考える
FP2級、CFP®5課目に加えて、宅建も独学合格者です。
独学は一定の自分自身の頑張りが必要です。
宅建はFPに比べてYouTubeコンテンツやテキストも非常に充実しています。
ただ、通信に比べてやや時間は掛かるでしょう。
実際に筆者が独学で乗り切っているので、乗り切れないことはないと思います。
特にコストを極力抑える学習法として、テキストと過去問、YouTube動画をご紹介します。
宅建テキスト
筆者が受験時代に使用した宅建テキストは以下の2つです。
基本的には宅建受験時から、タブレット学習法でやっていました。
そのため、PDF版のテキストがあることが第一優先でした。
PDF版のテキストが無い場合は、合法的に自炊と手段を取らざるを得ません。
そのため、PDF対応がどうしても優先になります。
今回挙げるテキストは双方とも紙版のテキストであっても選択の余地はあるテキストです。
わかって合格(うか)る宅建士 基本テキスト
こちらはTACにある複数の宅建テキストの中で、TACの木曽先生が長年書いている定番のシリーズです。
「わかって」「合格る」=《わかうか》で有名ではないでしょうか。
20年以上の実績があるテキストで、毎年法令に従って更新されているので、その年の分に合わせて購入する必要があります。
筆者は現役の時に大枠理解していたので、1浪した時に改めてこちらを使いました。
わかって合格(うか)る宅建士 基本テキスト電子データのPDF版はTACのオリジナルストアで購入することで入手することができます。
また、通常の書籍版ももちろんありますが、最新版に注意して購入する必要があります。
(全文PDF・単語帳アプリ付)2024年版 合格しようぜ!宅建士 基本テキスト 動画&音声講義付き (「合格しようぜ!」シリーズ)
おもに現役の時に使用したテキストです。
こちらはAmazonで購入しても別途PDF版のデータが付いてくるものです。
タブレット学習法ではまさにマッチし、そのままKindle版を購入してPDFダウンロードしデータ版だけで使っていました。
2023年度版は音声付きの講義が35時間ありました。
今回の24年度版は音声6時間と動画講義4時間でポイントが絞られたといえる内容です。
この解説がまた独特の個性がある、宅建界では有名な大澤先生の著書です。
語呂合わせ系が特に興味深く、覚えやすいフレーズが中心となっています。
筆者は当時大澤先生が開催する無料のオンライン勉強会に出席したことがあります。
筆者が取得した宅建以外のマンション管理士や管理業務主任者などの不動産系資格で、建築基準法や都市計画法の語呂合わせは、この大澤先生のテキストがベースとなっており、繰り返し語呂合わせ集として使っていました。
宅建過去問
宅建の過去問攻略は、宅建試験ドットコムさんの過去問道場と、テキストと連携する問題集が学習の深みが増してお勧めです。
宅建試験ドットコムの過去問道場
過去問はまずお勧めするのが、FP2級と同じところで運営されている、宅建試験ドットコムさんの過去問道場でしょう。
これが宅建版もあります。
FP版同様に過去問を繰り返し学ぶことができるうえ、成績表まで付いてくる優れものです。
なんと24年分の過去問がついています。
さらに法令・制度改正で古くなった問題が除外されているものを選ぶことができたり、難易度ごとにランダムに問題が出題されたりと、非常に優れたものとなっています。
法令・制度で古くなった問題を含めると、24年分×50問+α=1,300問が解説付きで網羅されています。
しかも無料なので、これを2,3回解くだけでも過去問対策は十分でしょう。
むしろ十分すぎるぐらいのボリューム感とえいます。
テキスト学習とこの過去問道場で、合格に必要な5~600時間は優に超えます。
結果的に非常に合格に近づくと思います。
わかって合格(うか)る宅建士シリーズの問題集
わかって合格(うか)る宅建士の問題集は2パターンあります。
一問一答式と過去問分野別問題集です。
有料書籍であるため、過去問道場よりは解説がTAC講師の監修や解説がはいっています。
そのため内容がより具体的であり、事例に基づいたものが入っていたりします。
どちらか一方でいいと思いますが、筆者は分野別問題集を購入して実践していました。
一問一答式にも実はメリットがあります。
その問題が正しいか、正しくないかを明確に判断しなければならない点です。
これは結果的に消去法が使えないことです。
消去法が使えないということは、その問題文全体のどこに間違いがあるのか、正確に把握している必要があります。
そのため、より深いアウトプット学習ができるということになります。
対して、分野別問題集は300問超の4択です。
1,200問分の正誤の判断をしなけらばならないというボリューム感で学習できます。
しかし一問一答のように〇×ではなく、誤っているものや正しいものを選べとなります。
これは自然とあっているものを選ぶだけの解答になりがちです。
そのあたりのメリット、デメリットを考えながら使用する必要があるでしょう。
宅建模試の活用
実際の試験の約1か月前に、実力をはかるための模擬試験があります。
TACやLECなど、試験予備校では今は緩和されてきたので、会場受験も可能です。
筆者は会場受験が難しい前に取得したので、会場に行って模擬試験を受験しました。
メリットとしては、会場の雰囲気、いわゆる場慣れが試験前にできることでしょう。
デメリットとしては、点数により一喜一憂しがちなことや、予備校独自の問題となるため必ずしも本試験の出題傾向とは違ったものや、講師に依存する問題が出題されることでしょう。
さらに、難易度が高いものが出題され解けなかった場合には注意が必要です。
残り1か月で勉強の方向感を見失うリスクがあります。
また、難易度の高いものに手を付けてしまい、基礎が逆に抜けてしまう懸念もあります。
残り1か月の模擬試験の点数は全く気にする必要はないと思います。
メリットよりもデメリットの方が強い場合は、模擬試験は受けないことをお勧めします。
宅建お勧めYouTubeチャンネル
筆者は当時YouTube重視ではなく、テキストと過去問を中心に学習していました。
そのため、現時点と比較して単純には難しいですが、宅建渋谷会は充実していました。
ただ、基本的に有料サービスであり、無料動画が登録者数キリ番の時のみに出て来るので、必ずチェックする様にしていました。
その他、YouTube動画で例えば「宅建 使用貸借」などキーワード検索してみていました。
苦手な箇所を埋めていくことを中心に理解が深まるまで動画を見ていた記憶があります。
宅建独学におけるメリットとデメリット
宅建独学により金銭的コストを抑えることができますが、一方で時間的コストは遠回りすることとなります。
コストがある程度許容できるのであれば、やはりお勧めはカリキュラムやコンテンツの充実を考えると通信講座が一枚上であることを、一応念を押しておきます。
宅建、FP、受験の順番は?
前述の通り、FP2級と宅建はダブルライセンスとして持っている方は比較的いらっしゃることを記載しました。
FP2級から上位資格にチャレンジするのは一定のハードルがありますが、取得すれば価値のあるダブルライセンス保有者となることは間違いないでしょう。
宅建とFPの各資格についてどのような順番で受験するのがよいか、確認してみます。
FP2級→FP上位資格→宅建(筆者お勧め)
FP2級を学習されている方、もしくは取得された方が次の上位資格にいくには一定のハードルがあるのは認識しています。
上位資格は難易度が高くなってしまい、加えてFP2級でも十分だと言われている点もあります。
FP上位資格取得にはさらに数百時間を割かなければならず、またそれだけ学習しても確実に取得できる保証はないので、ごり押しはできないところですが、顧客からの信頼性が変わることは間違いないでしょう。
上位資格のうえ、さらに宅建…となると、非常に気の遠くなるような話かもしれませんが、筆者をはじめ、CFP®と宅建のダブルライセンスの方が比較的多いと考えると、努力を継続すれば手の届かない資格ではないと考えられます。
宅建→FP2級→FP上位資格(宅建を既に持っている方など)
宅建を既に持っている方がおもに該当する流れです。
また、不動産を得意としている方や主業としている方もこの流れが多いのではないでしょうか。
筆者は元々宅建を取得したあとにFP3級から始めたので、まさにこのパターンです。
不動産のベースが出来た中でFP資格を受験するため、FP課目の不動産が得意課目となり、得点源となるでしょう。
ただし、FPの不動産は計算問題が出題されるので、その点は暗記だけではない、公式の理解や素早く電卓を叩くテクニックなどが必要になってきます。
FP2級→宅建→FP上位資格(FP2級を既に取得された方など)
FP2級を取得しFPについては比較的充足、宅建にチャレンジしてみようか、人気資格だし…といった流れで取得を検討されるパターンかと思います。
実はFP2級取得者は、意外とこのパターンが多いのではと感じる所は有ります。
FPは2級で十分で、むしろ非常にニーズがある宅建をFPで学習した不動産知識をもう少し深堀して学習していきたい、そんな流れもありそうです。
そして、宅建取得の暁には、さらにFPの知識を深めて顧客に貢献したいため、上位の資格を狙いに行く、そんな流れでしょう。
自らが描くキャリアプランの中で、ひとつの考え方としてあるのではないでしょうか。
資格難易度
最後に、それぞれの資格の難易度はどのような形なのか、あくまでも資格学習を通じて感じた筆者なりの見解ではありますが、確認していきます。
資格難易度や学習時間を考えた各資格の位置づけ
筆者の肌感覚や、学習経験上にはなる主観的な見解になりますが、
ではないかと思っています。
位置づけの理由
FP2級は学習時間や出題の深さが宅建に比べ浅い点です。
一方で、宅建は応用的な考える面はあるものの、法律中心の基本的には暗記系であり、出る個所もある程度決まっていることがあります。
また、CFP®については、合格率が30%台半ばである一方で、1課目当たり出題範囲が広い中で6課目全てに合格しなければならない点があります。
複数回、または複数年かけてCFP®6課目にたどり着く受験生も多いようです。
FP1級も、学科、実技ともに60点以上で合格ではあるものの、とりわけ学科は基礎編、応用編と計300時間を解かなければならない出題範囲の広さ、内容の奥深さをクリアしていく必要があります。
合格までの学習時間としては、FP1級よりもCFP®のほうが若干長そうな気はしますが、合格のための難易度としてはトントンではないかというのが率直な感想です。
さらにCFP®、FP1級は残念ながら、宅建ほどテキストや問題集が充実していませんし、受験生も比較すると非常に少ないです。
そのため、受験生は苦労しながら情報収集しつつ、孤独な中で学習している方も多いと考えられ、遠回りすることも多いと考えられます。
FP2級試験は合格率が比較的高い絶対評価
FP2級試験は、学科、実技ともに60点を取得すれば合格できる絶対評価の試験です。
そのため、必ず取るべきところを取る、難しいところは捨てる、を明確に現場対応を行うことで着実に得点を積み上げていくことができる試験とも言えます。
FP2級では2級のレベルではテキストに掲載されないような難問が出題されることもあるので、早い見極めが必要と言えるでしょう。
宅建試験は不動産業界経験者が中心の相対評価
宅建試験は、不動産会社で一定の経験をしている受験者も比較的多いと言えます。
ある程度のベースがある中での相対評価試験なので、合格点が満点の50点に対して30点台半ば~後半と、比較的高い傾向にあります。
また、宅建業法をはじめとした定番の問題や過去繰り返し出ているラッキー問題は必ずでてくるので、そこを落としてしまうと差がついてしまう可能性があります。
民法は難問が多く差が付きにくいので半分~6割程、宅建業法は8割以上、その他は7~8割程取ることで、全体で8割弱で合格が見えて来る、そんな感じでしょう。
上位FP資格は出題範囲が非常に広く深い
筆者はCFP®中心に学習したのでCFP®目線で記載しますが、とにかく解ける問題の見極めが非常に重要という点です。
全問見て、解ける箇所、後に回す箇所をチェックして、後に回す箇所は必ず解ける個所を解いてから解くことです。
具体的には、金融の外貨建て系問題や、保険の長文問題です。
金融は定番のデュレーションや株式関連、またその他課目でも計算問題以外の選択問題は、時間短縮になるので、積極的に先に解くようにするのがお勧めです。
まとめ
今回はFP取得の後に宅建の取得が有効であるとして、その概要だけを記載する予定でしたが、攻略法も記載して長文になりました。
ほぼ宅建攻略と、FP上位資格の基本的な論点は網羅できたと考えています。
筆者が合格した方法に近い形ではありますが、FPと宅建のダブルライセンスを目指される方の参考になれば幸いです。
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